「名品展 紅白梅図屏風」MOA美術館

今年は日本美術をもっと鑑賞しようと思い、MOA美術館の「名品展 紅白梅図屏風」へ。

MOA美術館って、「Mokichi Okada Association」の頭文字で、創立者である岡田茂吉のイニシャルが由来なのね。世界救世教という新宗教が運営しているという話もあり、なぜそんなところに国宝が...と思っていたものの、この創立者である岡田茂吉が宗教家であるところから。

 

 

 

熱海

 

まずは、11:00ちょっとまえに熱海駅に到着したので、腹ごしらえから。

ラーメンが食べたかったので、「雨風本舗」へ。

 

醤油チャーシュー麺と炒飯大盛り。ここは、炒飯がうまい。

旅先で浮かれてしまったのか、はっきりと食い過ぎた...。結果、麺を残すことにもなり、腹が苦しい状態で一日過ごすことになる。もう中年だという認識が必要。しかし、ほんとに食えなくなった。

 

熱海駅前の平和通り名店街が、ちょうど「雨風本舗」まわりにもなるんだけど、ここが良い観光スポットになってて歩くのが楽しかった。

以下、良い塩梅の路地。

熱海駅前のバスターミナル8番乗り場から、MOA美術館前行のバスがでていた。この日はとても混んでいて、11:30発のバスに乗ろうと思ったものの1台目は満員になり、2台目のバスへ。

 

MOA美術館

 

そこそこ勾配のある坂を上へ。MOA美術館は高台の上に立地されてる。

入館後は、まず長いエスカレーターがあり、さらに上へと移動を促される。入って仰ぎ見たときのインパクトは凄かった。

途中で、ヘンリー・ムーアの彫像やブールデルのレリーフ、マイヨールの彫像なんかもあり得した気分になった。



浮彫(レリーフ)にまつわる記述というのは美術の本を読んでるとよく出てくるもののイマイチぴんと来なかった。実物を見てみると今後は話がよく分かりそう。

 

ひとつ驚いたのが、現代作家の作品を除いて、基本的に美術館全体で展示品の撮影が可能だったこと。当然美術館ごとにここらへんのガイドラインはいろいろ異なるのだけど、どういった方針で各美術館がそれを決めているのか凄い気になる。

 

展示品

 

お目当てはもちろん国宝だけど、それだけでなく、平安~室町時代水墨画なんかも充実していて重要文化財と銘打たれているものがたくさんあった。

そちらで印象深かったのが

・「楼閣山水図屏風」海北友松

余白と省略可の極みみたいな作品だった。これが海北友松だ!

・「樹下美人図」中国唐時代 8世紀

異様にくっきりとした輪郭線が忘れがたい。

 

あと、佐藤玄々という彫刻家の名前を知れたのも良かった。ブールデルに師事した日本人彫刻家なんてのがいたのか。

 

しかし、書跡や陶磁器も充実していたが、これらはやはり鑑賞が難しい。絵画以上に前提知識がないというのもあるけど、基準が自分の中に無いのでどこに注目していいのか

分からなかった。今後勉強していきたいところ。

 

 

国宝


今回展示されていた国宝は以下三点。

・「紅白梅図屏風尾形光琳

・「色絵藤花文茶壷」野々村仁清

・手鑑「翰墨城」藤原行成

 

尾形光琳に関しては、以下の書籍であらかじめ予習済み。

 

 

 

なので、尾形光琳という人は琳派の系譜の中でも突出した存在で、天才であるという認識を持って行った。その尾形光琳の晩年の傑作がこの「紅白梅図屏風」である。

印刷で分かりづらかったのが、左右の梅の赤と白で、実物を見るととても目立つ発色で良いアクセントになるどころか、全体の中でもこれらの色が担っている比重は大きい印象を持った。

そして幹に利用されている「たらしこみ」。近くで見ると、同じく幹に使われている緑ときっぱりと分離されていて違和感がある。これが少し距離を取ってみるとちゃんと成立している。ここら辺の感覚は印象派のようで、この作品が描かれて時代を考えると鮮烈に思う。

左の屏風に描かれた白梅の枝は一筆書きのように描かれている箇所もあり、全体をみるとみっちり詰め込まれてるように描かれてるけど、個々の細部は淡泊な感じ。

こういった左右の梅に囲まれているのが、真ん中の水流でここの表現は記号的。

細部と全体、左右の梅と真ん中の水流、それぞれがちぐはぐに思えるものの全体では調和がとれている。尾形光琳の天才の所以がわかる作品だった。

 

お次は野々村仁清の「色絵藤花文茶壷」。

こちらは以下の書籍で予習。

 

やきものの歴史の中で仁清がいかに大きい存在であったかを踏まえての鑑賞。

...といっても、陶磁器は分からない。

色彩が鮮やかで、やまと絵由来の記号的表現と思わしき葉の描き方が印象的だった。

 

筆跡はさらーっと鑑賞して終了。

ほんとは温泉にも入りたかったものの、腹がきつかったので早々に帰宅。