『ワンパンマン』『ワンパンマン(二期)』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 星霜編』

ワンパンマン

ワンパンマン(二期)』

『モブサイコ』のアニメシリーズが面白かったので、同原作者の『ワンパンマン』も観てみた。『モブサイコ』のクオリティを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。アニメの魅力はやはり単純にストーリーだけではないんだなという事がはっきりわかる。

一期は、全体的によく動くというより、止め画も頻繁に使われていて、似たようなカットもよく出てくる中で、玉に超絶作画シーンがあるという良い塩梅のアニメ。ジュノスの戦闘シーンと、12話のサイタマvsボロス戦がピーク。

二期は、一期が要所要所で気合の入った作画シーンが見れたのに対して、更に全体的にゆるい出来映え。なんかサイタマの演技も変わったように思えて、最初は違和感があった。そんなこと言いつつも一日で面白くシリーズ全部みてしまったので、見せ方が的確だったんだろうと思う。

17話にて、チャランコに化けたサイタマが前話では、チャランコの先輩であるニガムシに気づかれないように顔を隠すような仕草を見せていたのに、この話では普通に会話しているという、なんか平仄が合わないのが気になる。原作からしてこうなのかなとおもっていたら、ニガムシは近眼で眼鏡かけてないとろくに顔を識別できないみたいな設定があったのね。...わからん。

『ヒロアカ』にせよ、『ワンパンマン』にせよ、社会システムとしてヒーローが認められてるみたいな設定ってやっぱり、『アベンジャーズ』由来なのかなと思った。けど、『僕のヒーローアカデミア』の連載開始が2014年で、『ワンパンマン』のオリジナル版が2009年で、リメイクが2012年、『アベンジャーズ』の公開が2012年なんで直接の関係はなさそう。

とにかく、サイタマを慕うジュノスが終始可愛いアニメだった。

ちょっとアニメの鑑賞重ねたころは、全然動かないアニメにそれだけで損したような気になってたけど、上記のアニメの歴史に関する本読んで、そういった見せ方を可能にする創意工夫を知ると、そういう気持ちは霧散するね。

 

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編』

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 星霜編』

ずっと観なければいけないと思っていた作品。1999年の日本アニメーション版『HUNTER×HUNTER』ファンとしては、古橋一浩監督とキャラデザ・作監松島晃が関わっているのだから。

前評判の高さなんかもあって、大分心理的ハードルが上がった状態で見たけど、それでも十分に満足できる出来栄えだった。デジタル画が主流になる前の、セル画特有の質感と色彩がたまらない。

殺陣シーンは演出・作画相まって他に類を見ないような迫力。実際に、刀で人が切られたり、柄で殴られるシーンなどは痛みが伝わってくる。『追憶編』と『星霜編』でキャラクターデザインが柳沢まさひでさんと松島晃さんで変わるのだけど、この二人の違いを見比べるのが面白い。個人的には柳沢まさひでさんの写実的なデザインと、一般的なアニメ絵の中間くらい(実際にそういった注文を受けたらしい)である、松島晃デザインがやはり好みだ。『星霜編』の剣心の息子である剣路の修行シーンなんか、声優が甲斐田ゆきさんで、かつ『HUNTER』っぽい劇伴もあってか、まんまクラピカの念修行のシーンを思い出した。

劇伴というと、『ヨルムンガンド』で非常に印象的だった岩崎琢さんが手がけていて意外な発見だった。スタッフコメントとか読むと、音楽が画の添え物になってしまわないようにというようなことを言っていて、凄い自己主張の強い人みたいだね。『ヨルムンガンド』では、実際に劇伴が話をリードするような感じもあったけど、今作ではちゃんと場面場面に寄り添う感じでそういう自己主張は控えめに思う。

重っ苦しいという評判だけど、己を枉げないで生ききった剣心のラストは感動できるもので、不覚にも泣きそうになった。大満足。