「近代日本の視覚開花」愛知県美術館、「大蒔絵展」徳川美術館

2023/5/23(火)

大学時代の友人のお見舞いに愛知県へ行った。
そのお見舞いもかねて、良い展示会があったので寄ってみた。

 

 

「近代日本の視覚開花」愛知県美術館

まずは、愛知県美術館の「近代日本の視覚開花」展へ。先週末行った東京の美術展に続いて、とにかく近代日本の美術について積極的に深めようと思い立った途端、それにぴったりとした展示がどんどん開催される。これには何か運命めいたものを感じる。

大学時代は愛知県で過ごしたのだけど、その際には美術に関心が無かったので、良い美術館があるにも関わらず訪れることが無かった。今更ながらに少し残念に思う。

美術館は、愛知芸術文化センター8階にある。ここの美術館前に集合ということで、ひさびさに友人二名と落ち合う。一人は見舞う対象で、もう一人は一緒にお見舞いするということで。見舞い対象は思ったより元気そうでよかった。そして見舞い仲間は2~3年ぶりに合うが全然ルックスが変わらず。特にそれらしい挨拶もなく、さっそく美術館の中へ。

冒頭から、高橋由一、初代五姓田芳柳、五姓田義松、二代目五姓田芳柳などの日本の西洋画受容や油絵の歴史にまず名前が出てくる画家たちの作品がずらっと並んでいて、非常に豪華だった。

藝大美術館や東京国立近代美術館で1枚見つけただけで喜んでたもんなー。

何より、それらの日本西洋画の祖たちに油を教授したチャールズ・ワーグマンの絵画が飾ってあり、これがまた良かった。


比較的、同時代の他の油絵と比較すると塗が非常に厚くて、これはワーグマンが画材を潤沢に所持していたからなのか、作家性なのかは判別つかなかった。

多くの展示物が神奈川県歴史博物館のもので、博物館にもかかわらずこれだけの美術品を所蔵しているのかと驚いた。もともとそういった美術館/博物館の線引き自体非常にあいまいで、今回の企画展にはその境目を揺るがしたいというような意図もあるようだ。


続いて、高橋由一の作品。見舞い仲間は美術に親しんでいないようだったが、この高橋由一の写実性には感心していた。わかるぞ。

まとめて高橋由一作品を鑑賞できるのはやはり豪華と言わざるを得ない。

今回のこの展示もある程度予習してからいったのだが、こういった著名作家の作品のほかにお目当ての画家が一人いたのだ。

それが岡田三郎助の作品。

美術に詳しい人からしたら、そこそこ著名な名前なんだと思うが少なくとも自分はとある事実を知るまであまり気に留めたことはなかった。その事実というのが、なんと知り合いの祖父が橋渡淳一郎という洋画家で、その師匠がこの岡田三郎助であるということ。全くそんな由緒を感じさせない人間なので、ここ最近自分が美術館に行くのを見て報告してくれたのを聞いて驚いた。...故に、なんとなくこの岡田三郎助の名前には縁を感じて、積極的に作品に触れたいと思っていたんですね。

雑誌の購買意欲を沸かせるために付録としてつけられるような魅力的な絵を描く人だった模様。ここら辺は凄い現代っぽいね。活字より絵が強い。

企画展を見た後は、常設展示を見て昼食へ。

 

オアシス21 「信忠閣」

すぐちかくのオアシス21の「信忠閣」という中華屋で食事。

なんだかんだで、こちらも在学時には全く来なかったところ。まぁ、商業施設なんで金ないとなんもできないからね。

信忠閣ラーメン(という名の普通の醤油ラーメン)と、マーボー飯。セットで頼んだのだけど、マーボー飯が結構な分量でお得感があった。ほんとに何の変哲もない醤油ラーメン。

オアシス21にはバスターミナルが併設されていて、そこから出ているバスで、次の目的である徳川美術館へ向かう。名古屋の市バスは1乗車210円で統一されていて、それで徳川美術館前まで。

 

「大蒔絵展」徳川美術館

こちらも在学時には全く行ったことがない。そして蒔絵である。

これはただでさえ美術を語る語彙をもっていない自分が、さらにどう語ってよいのか分からない。国宝や重要文化財のオンパレードでこの企画展が希少なものであるということは分かる。東博の「東福寺」展に行った時も感じたけど、とにかく美術だけの系譜を追いかけても、ここら辺は理解できないのだろうなとおもう。蒔絵自体は、以前に東京芸大の展示でも出展されていたり、MOA美術館にもたしかあったと思うが、それらをスルーしてしまった経験もあり、ある程度自分の中にまとまった「蒔絵」に関する知識が必要だという感触を強くした。特に平安時代の美術を味わうには、この時代の文学の知識が必須だろうという思いを強くした。とりあえず、超分厚い図録は購入したので、今後コツコツ理解できるように勉強していきたい。

その後は、徳川園をぐるーっと歩いて終了。

最後に、大曾根駅構内の「カフェザラメ」で駄弁ってから、帰宅。