「明治美術狂想曲」静嘉堂@丸の内、「大阪の日本画」東京ステーションギャラリー、「生誕110年 佐藤太清展 水の心象」板橋区立美術館

2023/5/19(金)

一泊で、東京にて美術館・博物館めぐり。

今までは、鈍行で静岡から東京まで行っていたものの、これが気付かずに結構体力を削っているだろうと思い、今回は行きだけは新幹線を利用することにした。学生時代から今まで新幹線を利用したことはほとんどないので、使い勝手がわからず少々混乱した。

とりあえず、当日に自由席を普通に購入できたので良し。

まずは、丸の内へ。

 

 

 

麦まる ヤエチカ店

辰野金吾設計による東京駅はなんどみても雰囲気あってよいね。

赤レンガがおしゃれ。

お腹が空いていたので、美術館に行く前に腹ごしらえ。

東京駅前の八重洲口地下街、通称ヤエチカ内にある「麦まる」にてうどんを食べる。

9時~10時という中途半端な時間に開いているお店ということでとてもありがたかった。ネギ、天かす、ショウガはセルフサービス。

 

「明治美術狂想曲」静嘉堂@丸の内


去年(2022年)10月に、現在の明治安田生命館1階に移転してきて、移転直後の「響きあう名宝」展を見たかったものの、当日券を変えずに門前払いを食らった思い出。
それからようやく館内に入ることができた。

全体的にこじんまりとしていて、じっくりと展示物を見たとしても1時間で充分鑑賞しきれる。

平日の午前中ということもあり、そこまで人がいなかったので、一番の目当てであった「曜変天目」をじっくり鑑賞できてよかった。ちょっと展示の並びからずれた位置にあり、多分なんとなく見てた人のなかには見逃してしまった人もいたんじゃなかろうか。

やきものでこのような淡い青色を表現できるというのがとても不思議で、じっくりと見いってしまった。これが12〜13世紀から今まで現存してることが凄い。

去年、移転してからずーっと展示しっぱなしに見えるんだろうけど気のせいだろうか。なんか出し惜しみしないにもほどがあるというか、良いのか? という気持ちになる。

もう一つ橋本雅邦の「龍虎図屏風」をみたかったのだけど、展示期間がずれてしまっていて見れなかった。代わりに松本楓湖の「蒙古襲来碧蹄館図屏風」と、今尾景年の「耶馬渓図屏風」を観れたのが良かった。

丁度、今村紫紅速水御舟に関して調べていたので、彼らの師匠であり、彼らが参加していた「安雅堂画塾」の開設者である松本楓湖の絵を実際に見れるというのはタイミングが良い。今尾景年も名前だけ聞きかじっていたが、今回の屏風絵がとても良かったので、名前を覚えようと思う。

観古美術会や、黒田清輝の裸体画論争など、もう少し深めて知りたい内容もあり、図録は欲しかったものの、金欠気味なのと、図録本体が値段の割に薄いというのもあり購入は後回しに。来月、通販で購入しようか。

 

「大阪の日本画東京ステーションギャラリー


こちらは静嘉堂というって変わってなかなかのボリュームの展示会だった。近代日本画というとやはり京都と東京が主軸であまり他地域に触れられていることはまれなので、とてもエポックメイキングな展覧会なのだと推測される。

一応、こちらの動画をみて、図録も取り寄せてばっちり予習してから訪れた。

youtu.be

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日本画全体の傾向なのだけど、図録でみるより実物がはるかに大きい!
結果的に、あらかじめもっていた印象とは全然異なる感想を持つことになる。

北野恒富を中心に人物画って淡白な印象だったけど、これがガラッと変わった。着物の緻密な書き込みに比して、ちょっとした仕草や表情を簡潔な線で表現してるところなんかにとても惹かれるものがあった。

矢野橋村と矢野鉄山による山水画は、抽象画なんかと同様にデカさが非常に重要で、その圧迫感を味わうというのがわかった。

お気に入りは島生園の「祭りのよそおい」で、クリアファイルにもなっていたので購入した。貧富の差を子供の描写で訴えるのは、あざといんだけどそれでも惹きつけられる。切なくてよい。

 

「生誕110年 佐藤太清展 水の心象」板橋区立美術館

本日の最後はこちら。板橋区は東京の中心からは少し離れた位置にある。

東京駅から東京メトロ大手町駅へ。大手町駅から都営三田線(初めて乗る)で西高島平駅まで移動。

下の画像で確認できる、左上の赤丸の位置。

美術館までは、駅まで大体徒歩15分ほど。あいにくの雨で移動がしんどい。

佐藤太清という画家の名前は全く知らなかったんだけど、こちらも↓のチャンネルで紹介されていて興味持った。

youtu.be

動画によると、佐藤太清とは「花鳥風景画」を大成させた人物ということ。また、日展の山崎啓次先生が「潮騒」をみて影響を受けて、佐藤太清に弟子入りしてサラリーマンから絵描きになったという逸話がある。

東山魁夷にせよ、佐藤太清にせよ、戦後に人気作家だったというのが現在の感覚だとよく分からない。それだけポプラリティーがあったという痕跡が全然垣間見れないからだ。10年前くらいはそこそこテレビも見てたが、それでもここら辺の名前に触れる機会はほとんどなかったと思う。

展示については、入場料も650円という破格の値段で、サクッと画家の生涯を一瞥できるような構成。素人目にも50代に入ってからの作品が、それまでの凡庸に思える作品とは一線を画していて、ここで円熟したんだなというのが見て取れて面白かった。

ただ、展示の照明があんまりよろしくない……。絵画を痛めないためかとにかく暗いので、肝心の色彩が十分に味わえない。館内で流していた映像内の絵の方がよほど魅力的に見えてしまった。同様に光が足りないからなのか、ほとんどの展示作品を見るときに、自分自身がよく反射してしまい、それが鑑賞の邪魔になる。
この一点が非常に残念でした。

画家自身が理想の色彩をもとめて自分で絵の具の調合まで行っていたらしく、その絵の具も展示されていた。

 

ホテルヒルトップ サウナ

板橋区立美術館から、本日の宿泊施設である「ホテルヒルトップ サウナ」まで歩いていくことに。駅前の小さい路地から入って少し歩いて到着。

予約時にカプセルホテルで申し込みが完了していたのだけど、「ああこれ、一人部屋の料金ですね」という受付の人の謎の述懐から、一人部屋に変更してもらえた。

宿泊費は6273円。

24時間サウナ付きの風呂に入り放題で、アメニティも歯ブラシ・髭剃り・部屋着つきと充実していて良かった。ここらまで来ることはあまりないと思うが、機械があれば、また利用したいと思う。

夜ごはんに、近くのラーメン屋「きころく」へ。

ここで頼んだ特性つけ麺が凄かった。1500円と少しお高いなとおもっていたら、とんでもない角煮がついてきて納得の値段。(最初にもう少し確認しとけよという話だが)

つけ汁の粘性も高くて、カレーみたい(実際、カレー味にもできた)。東京はこんな感じのつけ麺が多いように思う。

300gの大盛りを頼んだが、残してしまった...。

毎回言ってる気もするが、とにかく自分の胃袋を過信しないようにしようと思った次第。