「アンデッドアンラック」~17巻

 

 

「アンデッド・アンラック」読み始めた。読む前から分かってたけど、めっぽう面白い。能力ものなんだけど、能力の運用はかなり大雑把で「ハンター」や「呪術」みたいな緻密さは求められない。間延びさせない密度と、遠慮なく大風呂敷を広げる展開と、世界観を説明しきらないことで生じる謎が魅力的。

奈須きのこの推薦文に「一つの違和感がやがて世界構造の答えになる。」とあるけど、読者に違和感を持たせたままお話を進めるのは(今後きちんと回収される伏線かどうか定かではない)、とても読者を信頼していないと無理だと思うし、こういうお話づくりを週刊連載でやれるのはすごいと思う。

ただ今の時代にこの甘~い感じの女性キャラの描写はどうなんだと、ちょっと思う。ほっぺにチューしたら、敵キャラを打破できるって画は(能力が要請する必要不可欠な描写であって、蛇足である恋愛描写ではなく必然性がある分)、ちょっとキツイ。

「神」を打ち倒すっていうストーリーもそうだけど、こういった手あかのついたモチーフなりナラティブを抽象化して、陳腐じゃないように面白く自作に盛り込むのが上手い作者に思う。

16巻から、主人公である風子がループして、別の世界線でもう一度同じ時間軸をやり直していくことになるんだけど、このパートに入ってからの面白さが異常。なんせ15巻分丸まる前振りとなるわけで、そんな中で風子が、前世のノウハウを活かして、俺tueeeしていくカタルシスはまんまなろう系みたい。

 

ここら辺の、サマー戦なんかどっかで見たことあるなと思ったら「アベンジャーズ」だった。世界規模で同時多発的に発生する異常事態であるとか、高層ビルが目立つロケーションに巨大生物が遊泳する感じとか。

あとアンダー内での仲間割れ→ボスが仲裁する流れは、幻影旅団の某シーン思い出した。

冨樫義博に顕著なんだけど、ジャンプ漫画の最先端の面白さって、こういった形でメディアを横断してとにかく「おもしろい」ものをどんどん取り込んで漫画としているところにあるんじゃないかなと思った次第。

既刊17巻は、1巻から右肩上がりで面白くなり続けていて今後も非常に楽しみ。10月からアニメ化もされるらしいので良いタイミングで読めたと思う。