「湯神くんには友達がいない」佐倉準

 

なんか本(物理)の整理する必要が出てきたので、積んでたものを色々消化してる。今日は「湯神くんは友達がいない」をずーっと読んでた。

コミュニケーションが要らない(面倒くさいので)ところまで突き抜ける主人公を肯定するようなお話って珍しくない? 孤独に悩むわけでもなく、積極的に友達がいない自由を謳歌しつつ、相応に不利益も被る湯神くんの潔さが良い。

この漫画の素晴らしいところは、そんな主人公を変に繊細だったり、自意識過剰だったり、ブッキッシュな人物にしなかったところ(なんせ野球部のエースで部長でもある)。見る人が見たら協調性の無さゆえに、わがままで嫌な奴でもあるところを書いている点で、美化しているところがない。しかし、自分からそのように枠に閉じこもるような人物でない故に、他人を枠に押し込むようなところもなく嫌みがない。

自分なりの道理があり、めんどくさい。それでいいじゃん、ということなのだ。「ゆるキャン△」のしまりんもそうだけど、こういうキャラクターが活きて共感できるようなものとしてあるのは、どちらかという活字より漫画が多いと思う。

気ままさを肯定してくれるような感情の受け皿として、こういった表現がもっと増えてほしいなと思う次第。大好きな漫画でした。作者の佐倉準さんは、この作品以降漫画を描いていないようだけど、新作を楽しみにしようと思う。