『Night in the Woods』

『Night in the Woods』をクリア!

クリア時間:22時間15分

2023/11/02~2023/11/12

 

プレイ感想

『LIMBO』同様に積んでいた『Night in the Woods』を遊ぶ。

完全に純然たるアドベンチャーゲームを遊ぶというのは久々で、懐かしい感触を受けた。ただそれでも一番面白かったのはゲーム内ミニゲームの「デーモンタワー」だったりするので、やはり自分の好みド真ん中からは、ずれるなと思った。

元はカナダのゲームメーカーによる作品なんだけど、まず遊んで思う事がローカライズの巧みさ。とても卑近な日本語に置き換えられていて、これがゲームの魅力の大きい部分を支えていると思う。

とにかく遊んでいるとスクリーンショットをとって見返したくなるようなシーンの連続で、何気ない台詞回しでどんなキャラクターなのかというのがとてもよく分かるようになっている。

ごらんのようにキャラクターは動物でとても抽象的なんだけど、舞台背景となっているのはいわゆるラストベルトと呼ばれる経済の変化によってさびれてしまった街で、貧困や生活苦というのがみっちりと描写される。この地に足の着いた世界で繰り広げられるキャラクターの交流がなにより吸引力になっているんだよね。キャラクターに話しかけるのが作業にならない。

主人公メイが大学を退学してこんな故郷に戻ってくるというところから話が始まる。そのメイの不安定な立場や心情が何とも沁みる...。故郷の友人と交流が深まる中で、変わらない自分に対してどんどん大人になっている彼らとの違いを感じて焦燥を感じたりもする。中盤から大きく分けで、この幼馴染であるビーとグレッグとでルートが分かれるのだけど、この友人たちにまつわる繊細な描写がこのゲームを特別なものにしていると思う。

友人のビーは、高校時代は学年でトップクラスに勉強もできたが家庭の都合で大学への進学が叶わなかった。現在は、働けないお父さんの代わりに、店舗で販売やってるんだけど、あくまでいろいろな名義はお父さんで自分には権限がない。しかも、店のエースであるクリークは小児性愛者の疑惑があり、エースゆえに辞めさせることもできないので父親もビーも黙認状態であると...。非常に厳しい現実が描かれる。

そして友人のグレッグは、恋人であるアンガスと移住先を決めて、そこでの生活のために賃金労働を頑張っている。メイとはバカ騒ぎ(犯罪含めて)するような仲だったが、将来の生活のためには、もうそういったことは出来ない。そのことを「成長させてくれ」と、きちんとメイに対して伝える。

本当は1周サクッと遊んで終わるつもりだったんだけど、この友人周りのイベントシーンをきちんと回収したくて、2週目に突入したんだよね。そしてそれだけの価値があったと思う。

作中にミニゲームがいくつかあって、音ゲーの「Pumpkins Head Guy」という曲だけはクリアできなかった。挑戦できる回数に限りがあるというのもでかい。

最終的にExtra要素として閲覧できるコンセプトアートは「21」「31」「32」「33」がいまだに確認できない。まだ未回収の要素が結構ある。きちんと認識できているものとしては、上記の音ゲーと、オカルト高校生要素と、友人ジャームのイベント要素...くらいかな。あと、同スタッフで作った「Night in the Woods」以外に同じソフトの中に入っている簡単なゲーム2つもまだクリアできていない。

抽象的で間口はとても広いが、遊んでいるうちにとても現実的で具体的なテーマについて考えざるをえなくなる。多分、似たようなことをやりたい人は大勢いると思うけど、そういう制作者側の思惑通りに気持ちよく乗っかれるクオリティのもので、いままであまり触れた事の無いようなゲームだったので、遊べて良かった。